香象承伝10「緑塔 02」

我が日本のシンボル・富士山と並ぶ外国観光客の人気スポットは東京スカイツリーです。建築工学の究極とも言えるツリーの鉄骨トラスの造形は、緻密かつ繊細なデザインで絶賛の一語です。東京スカイツリーの「高さ634m に対し頂点での誤差が2cm 以内」という驚異的高精度な鉄骨組み建てには、東寺五重塔を建立した匠の技が引き継がれています。かたや多肉植物「緑塔」は大きさでは比較になりません。しかし、緑塔の葉の配列構成は一見単純に見えますが、凝視すれば無数に重なる微妙に湾曲した葉の大きさや間隙はミクロン単位で配列されています。体内の「超マイクロCPU」で計算したのでしょうか。

Crassula pyramidalis  Thunb.
小種名のpyramidalisは「三角(錐)形」の意。原産は南アフリカの主に南大カルーと呼ばれるボッケフェルト山脈の東側から東マセット東カルー高原。北西部はナミブ砂漠の延長部、東部にはドラケンスバーグ山脈が連なる広い範囲に自生しています。最大高さ13~15cm、葉は長さ1cm幅0.8mmで塔状に重ねた葉の間は密着し、普通4稜で強光線下では時には紫色または赤褐色に染まります。通常指頭大で、その姿は正に指を立てた様です。成株では幹の中程あるいは地表に接する部分より子吹し2~5cmの小ブッシュ状に群生します。花期は春から夏、成熟した頂部に小さい白花がドーム状に群れて咲き、フリージアの花香に似た香りを醸します。諸外国ではこのチャーミングな姿が人気で複数のcv.があり、なおかつ地域変異も多いので幸いにも現地での絶滅の心配はないようです。

Cr.pyramidalis f.「ダルマ緑塔」大きさは基本種と同じだが、真上から見た時生長点から四方に広がる稜線が達磨大師の頭のように丸くなりよく群生し団塊状になる。


左:Cr.pyramidalis f.「丸葉緑塔」積み上げる葉が鈍角で横広なので頂点に行くとふっくらとした鈍頭になる。ダルマ緑塔より大型になる。
右:Crassula cv. Kimnachii キムナッキー(キムナッチー)神刀×緑塔の交配園芸種。1959 年にマイロン・キムナッハによって作出された。Synonyms: Crassula cv. Buddha’s TempleCrassula cv. KimnachiCrassula cv. Myron Kimnach  Crassula deceptor cv. Kimnachi

なお前文中の「實際園藝 第25巻第7号」でグラビアにて久保田美夫氏が解説している、おそらく昭和初期から「大型緑塔」として流通したCr. archeri については、標準的な細い茎のCr.pyramidalisと超大型茎のCr.quadrangularisとのハイブリッドと思われる種でCrassula pyramidalis f. media hort あたりではないかと思われます。(Cr.quadrangularisについては次回03に続きます)

この記事を書いた人

七宝樹
タイトルは「こうぞうしょうでん」と読みます
長野在住
多肉含めて植物全般「今昔」いろいろを語ります

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