香象承伝11「空中植物 03」

◆番外編・その他のチランジア1 Tillandsia tectorum

エアープランツを語るのにあろうことか本種を忘れるなどあってはならぬこと。我が夢まぼろしの植物、銀剣草の縮小植物と称してもよいほど瓜二つです。銀剣草(Argyroxiphium sandwicense)はハワイ、マウイ島のハレアカラ山が有名です。私と正木五郎先生とで1975年種子を入手成功。正木五郎録では同年秋に播種、10余本の発芽成功するが移植後すべて両者ともに消失する、となっています。当時は発芽後即移植が通例でした。
T.tectorumは銀色の微毛を全身に密生させ、葉と言う表現では言い表せない無数の銀繊状の姿は、一般的なイメージの植物とは言い難い珍奇種です。

◆番外編2 Tillandsia usneoides

usneoides(ウスネオイデス)はxerographicaと並んでわが家の黒板塀によく映えます。葉が微細なので湿度を含んだ空気が大好きで、光線と風の両者を好むずば抜けた強健種ですが、だからと言ってあまりの強風に晒すと、葉がちぎれて自慢の長い狐のストールが狸のしっぽに化けてしまいますのでご注意を。長く垂れさがるので地面に触れない高さに吊るすこともポイントです。

私はチランジアはすべてコルクか流木に取り付け栽培で、板塀や梅の木から吊り下げ雨晒しです。その強健たるや多肉植物の上をいく耐乾力といかなる病害虫も寄せ付けない金剛力は全く尊敬の域を超えます。コルクに根元が入る大きさの穴をドリルで開けそこに差し込み細いアルミ線で固定します。以前は少量の水苔を巻きましたが、効果の有無は不明なので最近は全く何もしません。空からの天水とそれに含まれる肥料(微量な窒素?)を得て生育するらしく、人為的液肥などは与えません。銀葉系チランジアは他にもあり、どれも手間をかけることのないのんき栽培で育ちます。

ただ一つのご注意は、霜に逢うと枯死しますから取り入れご失念なきよう願います。

この記事を書いた人

七宝樹
タイトルは「こうぞうしょうでん」と読みます
長野在住
多肉含めて植物全般「今昔」いろいろを語ります

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