香象承伝「Euphorbia symmetrica」02

01からの続き、相違点を解説します。

◆相違点1:花柄
E.symmetricaの球体は扁平で8稜から10稜で稜線は低く丸みを帯び、尖らないので指で稜線をなぞっても抵抗なく滑らかです。その多くは稜と稜へ連絡しない濃淡多様なゼブラ模様があり克明に変化します。花は稜線上に列をなし、陥没した溝よりそれぞれ「複数以上」発生して短い花柄に着ける。(※ただし若年齢の場合は一本)対してE.obesaの発生する花柄は「生涯一本のみ」です。この判別は開花時は明瞭ですが、その他の時期は出蕾穿孔の形状で識別可能です。すなわち横一線で花柄が出現するため、稜線に対して直角の唇状になっています。球体にある稜線上の無数の各痕跡は古くても形状は変化しませんからルーペなどで拡大観察すれば違いは明白です。

◆相違点2:根
これは植えてある植物では確認できませんが、根の形状の違いがあります。E.obesa の根は球体直下から分岐を繰り返して多数の小根となり拡散していますが、E.symmetricaは 「牛蒡状の直根」があり、主根から随時分岐した小根が発生しています。

以上この二点の相違点を比較すれば同定は可能です。しかし地上部は目視できますが植えてある場合は根の確認はできないのが難点です。

原産地でもこの2種の集団のある地域間に自然交配種の中間種ssp.(f.)が存在するようです。これを現地種子の採種時に混同している可能性もあり、すでに1950年以前から輸入種子の混乱が見られていたようで、正木先生も純系種を求めてオランダ・ドンケラー、イギリス・ドウグローランド、ドイツ・ケーレス各社から種子を求め播種していましたが、何れも形状・花柄等決め手になる条件に満足するものはなかなか見つかりませんでした。これぞ眞正種と言うべき雌雄2株を選出し、採種用として温室の中央に並べ特に栽培には配慮しておられました。先生は此のシンメトリカとクラスラ夢殿がお気に入りで、来訪者にいかに貴重であるかを解説するのが定番でした。

この秘蔵品は多くの種子を国内に供給しました。現存する眞正種は此の系列のものと思われますので、お持ちの方は厳重保管をお願いします。

対照図の描画は先生の眞正シンメトリカ説を元に作図しました。こちらは比較用に、年季の入った実生オベサです。

当時もしくはそれ以前、すでにオベサ×シンメトリカ交雑種が存在し眞正種は入手困難でしたが、以来半世紀を経た今日でも無計画無責任交配で、全く予想しない交雑種が登場しつつあるのが現状です。多数の交配種が溢れて種の混乱が発生した結果、本属の魅力低下につながってしまいました。我が多肉植物園芸界で戦前から固有の種として愛培されており、「シンメトリー」{左右対称}と言う格調高い言葉を学名の起原に持つ純系種の保持を、次世代の愛好家に引き継いで頂くことを切に希望します。

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この記事を書いた人

七宝樹
タイトルは「こうぞうしょうでん」と読みます
長野在住
多肉含めて植物全般「今昔」いろいろを語ります

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