香象承伝「Echeveria harmsii 花司 hyb.」

Echeveria harmsii j.f.Macbr.(Synonys Cotylen elegans, Echeveria elegans, Oliverantus elegans

花司と言えば鮮烈な色彩とエケベリアの中では大型の花で古くより周知の有名種です。橙赤色の苺の様に膨らんだ花冠は筒状で、花弁の先端が少し翻(ひるがえ)り開花となります。この花の見どころは蕾の時点から眼を射る素晴らしい色彩で、開花せずとも鑑賞価値十分です。 海外では此の特徴的な色彩と形状を取り入れ、一足先に新交配種作出に挑戦してEcheveria ‘Set-Oliver’Echeveria harmsii Ruby Slippers 他、多数の園芸交配種が作られています。私は1980年頃より、この類を見ない鮮赤色の花を白銀葉で著名なEcheveria canteに咲かせようと交配をしました。

Canteは長い間、Echeveria subrigida の一種として、誤った命名をされ栽培されていました。新しい名前の由来は、原産地メキシコのサンミゲル・デ・アジェンデのカンテ研究所と植物園を称える名称です。驚異のロゼットは大きく時には Echeveria 中最大級の直径約30〜40cmになり素晴らしい。葉は大きく成熟した標本の場合、15~18cmの長さ、6.5~7.5cmの幅。上面僅か凹み、少し凸状。淡い帯青緑色で厚く帯白粉状コーティングされ、多くの場合、葉縁に沿って狭い桃色の赤いエッジを現します。生育期には帯青緑色で幅のある葉は生長点を抱き重ね、休眠期の夏には白銀色に桃色を帯びて白粉を装い、その美しさから「エケベリアの女王」と言われる本属最美種の筆頭です。春から夏に高さ30cmの花茎を数本上げてエケベリア特有の花を着け、花茎は強堅で直立し、白粉を被った小葉を連ねます。花茎は更に6~7本に分岐し、7~8またはそれ以上の花蕾が発生します。交配に成功しCanteの形質を引き継げば白銀のロゼットに3本の花茎が立ち、分枝が7本でそれぞれに8個の花が咲いたとして総計168個の開花です。このように花が咲けば筆舌にしがたい豪華さに圧倒されるでしょう!

…とはあくまでも夢の話。開花年齢に達した新交配種には複数の異なる株が出来ましたが、想像したような豪華な鉢物とはいかず、選抜して本種 「X チェリーベル」と 「X ピグミーハット」各一種を親株にしてあとはすべて廃棄しました。葉は期待に反して艶肌、匙状で特徴のない平凡な葉でした。

「X ピグミーハット」は葉を多く着ける茎が15cmないし20cm、時にはそれ以上直立し、花柄は蕾を無数に着けて咲き上がります。花は小さく15mmの長さで明橙赤色。形は殆ど花司型です。木姿は花司の形質を組んで直立し、更に花梗を抽出して高く咲きながら上昇します。

多数咲くが花茎が伸びるので、5号鉢に5、6株植え新種鉢物となりました。この計画で二種類の交配種を増殖し、当時鉢物生産に携わっていたので数年を掛けて出荷体制にこぎつけました。4号、5号鉢として関東、関西、東北の各市場を経由し販売しました。現在もどこかに残っているといいのですが。

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この記事を書いた人

七宝樹
タイトルは「こうぞうしょうでん」と読みます
長野在住
多肉含めて植物全般「今昔」いろいろを語ります

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