香象承伝「Worsleya procera」04

◆2006年9月18日

植物の交配は異株の花同士が最良ですが、今は一株しかないのでやむなく自家受粉を実行しました。

開花して一定時間経つと雄蕊から花粉を出してきますが、この時は雌蕊の花粉管が未熟で花粉をつけても受粉できません。これは自家(花)同士の交配を避けるための植物界での「策略」で、他株の花に蝶など昆虫の媒体に花粉を運んでもらうための知恵です。小さな天使はあちこち飛び回り、複数の花を交互に訪ねて交配の手助けをします。手数料として蜜や花粉を提供することにより他家受粉が成り立つのです。これぞよく言われる[魚心あれば水心]です。先に咲いた第一花の雄蕊から花粉を採り冷蔵蔵で保存し、雌蕊が開いたのを見て先端につける作業を数回行いました。次々に咲く花に失敗を覚悟の上で何度も行いました。「下手な鉄砲も数撃てば当たる」を期待しての作業です。数日後あれほど美しかった花弁も色あせ収縮してきました。花弁の元にある子房が気のせいか膨らんでいるかのように見えるのは、はやる心の現れでしょうか。

日が過ぎて秋になり気温が下がり始め、温室に収容する時によく見ると子房が微かに膨らんで見えます。成功か、はたまた失敗かは全く不明です。

◆2007年1月5日 親指大の丸々と肥大した果実二個をご覧ください。

故郷のブラジルから遠く離れた日本での出発です。早速友人知人に「ブラジルの皇后受粉に成功。果実2個生育中」と報告すべく受話器を取りましたが、しかし待てよ、重要なのは自家受粉で正常な種子が入っているのか、外見は形ばかりで中はカラではあるまいか。もしそのようなことになれば顔向けできません。結局、採種してからでも遅くはないと、報告は見送ることにしました。

◆2007年4月14日 待望の果実裂開

長い花柄の先端の2個の果実が数日前から外皮が褐色に変色して来て、ついに自然に開きました。漆黒の鈍く光る種子が行儀よくならんでいます。温帯熱帯産の植物は「採り蒔き」が通例なのですぐに蒔くことにしました。

◆2007年4月25日 播種

駄温半鉢(さつき鉢)5号、用土は鹿沼土・軽石細粒・赤玉細粒・桐生砂の等量配合で混合し、7mm目の篩で落ちた混合土を更に3mm目篩で微塵抜きをします。肥料や石灰等の添加物はあえて混入しません。鉢底にネットを敷いて先の用土で満たし、種子を1cm四方に一個宛配り覆土は種子が隠れる位にします。撒き終わったらこの鉢が入る容器に底から3cmほどの水を入れ、そこに漬けて十分に給水します。現地では空中湿度80~90%らしいので鉢ごとスチロール箱に入れ、新聞紙を一枚かけます。温室内の直射光線を避けた明るい日影に置きました。

◆2007年5月20日 発芽開始

最初に種子から根が顔を出し、先端を地中に差し込んで伸びて行きます。覆土のしっかりしたものは土の中でこの作業をするのですが、覆土が薄いと根を空中に伸ばしてくるので根先を植え直します。これにて疑心暗鬼も消滅し、晴れて大願成就となりました。めでたし、めでたし。

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この記事を書いた人

七宝樹
タイトルは「こうぞうしょうでん」と読みます
長野在住
多肉含めて植物全般「今昔」いろいろを語ります

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