香象承伝18「Sempervivum」02
あまりに複雑困難なため見送っていた英国山草協会(Alpine Garden Society=A.G.S)の種子配布に正木先生のお手を借り一念発起で申し込みを果たし、なんとか種子を入手しました。会員権利を駆使して主配給と残余配給でフルに請求した結果です。最後の残り種子依頼は属名指定で「Sedum、Semperviumは私的に未導入種なら種類は問わず」としたところ計画は見事的中、予想通り未知のものを入手できました。
A.G.S到着種子原簿(昭和46年/1971年・No 6)
以下実生の記録、No.はリストと照し合せた番号です。
No.4 Sedum sempervioides 雪の紋章 形状はまさにセンペルビウム。
No.8 Sedum villosum 姫毬藻 阿寒湖の毬藻に酷似することにより命名する。※両種とも数年で開花消滅するから採種を忘れなきよう。
No.9 Sempervium xCommander Hay. f. 葉は濃紅色 紅夕月(ベニユウヅキ)と命名。後種と同じ実生より発生のもの。ロゼットの直径は6~7cm、抱えるような葉の縁(フチ)は帯緑色。色彩は紅紫色で良く群生するので大株となって迫力がある。
No.10 Se.xCo. Hay. f. 春、葉の基部のみ紅色になるが後に緑色になる。夕月 (ユウズキ)と命名。
No.10 Se. Co.Hay. f.大紫盃(ダイシハイ)
AGSより入手した表記の種子実生より一本のみ出現した、ロゼットの直径15cm超の大型種。葉はやや内曲した匙形で平滑。春は目を奪うほどの紫紅色に染まって最も美しい。本属は小型種が主なる故、巨大なロゼットは一際目立つ美種。特徴ある長く剛直なランナーを出す。
10-1 Sempervium x.Commander Hay. f. 紅睡蓮
一連のx.Commander Hay. f.の中の一種で直径15cmほど。ハイブリッド種は様々な形質を持ち変化するのが特徴です。春の生長期にセンペルビウムの多くは目を見張る極彩色に染まり、夏には色彩が薄れ緑色に変化するのが基本です。本種も7月下旬には黄緑色に落ち着きます。ランナーは大紫盃ほど豪快でなく短く楚々と生長します。夏の過湿は敏感なので注意します。
No.13 Se. heuffelii Schott f.(= Jovisbarba h.) 藤壺(フジツボ)
小種名heuffeliiは植物学者のヨハン・A・ホイフェルに敬意を表しての意。厚みがあり肉感的な葉は優美に内曲し、ベルベット状微毛の密生が美しい佳品。春の新葉は全体が淡い紫色を帯び、先端黒紫色を呈して格段の美しさ。種名の藤壺(ふじつぼ)は、紫式部が著した物語『源氏物語』に登場する架空の美女から命名。
No.13-1 Se.he. f. 市女笠(イチメガサ)
入手種子heuffeliiから発生した一形で、ロゼットは直径5cm位、青白色の微毛顕著でベルベットの感触。葉は多く、丸くふっくらと葉を抱え内曲し重なる。
本種の分布は広範囲で、地域変異が多く様々な形がある。市女笠とは平安時代頃に上流婦女子が装う外出着の壺装束(つぼしょうぞく)に付属する葦で編んだかぶりもの。笠の外周に薄麻の垂れ布を下げ、虫よけ日除けと人の視線を遮る。この笠の柔らかく美しい曲線は優雅で気品が漂う。
No.14 S.Malby.s.Hybrid 綾椿(アヤツバキ)
ロゼットの直径は8cm位。葉は細く繊細で品よく整然と湾曲し、非常に多数で微毛を有する。春は淡く紅を帯びて優美。手毬の様にふっくらとして美しい。
綾椿綴化(アヤツバキテッカ)上記の実生した中の一本の生長点が帯状になったもの。その後、帯化した一部に逆に正常種が発生し、分離して栽培していると突然綴化を始める珍品。
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タイトルは「こうぞうしょうでん」と読みます
長野在住
多肉含めて植物全般「今昔」いろいろを語ります
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