香象承伝18「Sempervivum」01

センペルビウムはベンケイソウ科に属し、SedumOrostachysと並ぶ耐寒性多肉植物として戦前より栽培されています。強健で低温・乾燥にも強く、鉢植えのみならず乾燥するロックガーデンに適した植物です。北関東以北の準高原気候で容易に栽培できます。しかし半面夏の高温多湿に弱く関東平野以南の暖地では露地植えの場合、夏越しがネックの植物です。空積石垣の天端など乾燥するポケットに植える等、一工夫が要ります。本属については以前、サキュレント 106 号(昭和 51 年 1976 年 3 月号)に取り上げ紹介しました。以下その中より抜粋改訂して記します。

◆Sempervivum L. センペルビウム属
属名はラテン語のSemper(永遠に) vivum(生きる)の意で、性質が強健なことに因る。原産はヨーロッパ、コーカサス、トルコ、北イラン、モロッコ等の山岳地帯。無茎のロゼットを作る( D,heuffelii は茎を立てる)耐寒性多肉植物。地理変異が多く、また無数の園芸種があり品種の同定は困難を極める。1970年頃に英国を主として多数の園芸種が作り出され、のちに米国にも同様な流行が起き、2005年以降現在に至るまで無数の園芸種がカタログに発表されています。現存する特筆すべき園芸種は貴重であるので消滅を避けるため保存栽培をお勧めします。

◆AGS 配布種子配給の難解種子配給システム
1960年頃から AGS(Alpine Garden Society)の会員でした。年一回、世界中の会員から寄贈された厖大な種類の種子を会員に配布するシステムがありましたが、毎年送られてくる種子配給の手順説明は難解至極につき、入手を幾年も見送っていました。ですがリストの種名を再三見ているうちに、列記された珍品奇種の魅力に耐えられず意を決し、正木先生に御教示を願いました。(以下1975年/昭和50年 正木五郎録より)

『会員には主配給と残余配給の二つがあり、リストは「制限リスト」と「一般リスト」と「追加リスト」に区別。このうち制限リストは供給量少ないもので主配給のみで配給され、5種のみ要求できる。主配給の総数は一般リストを加えて合計18種を指定する。ただし請求書には総計40種記入のこと。海外会員は主配給代金無料。2月21日以後は拒絶。』
『残余配布は3月上旬より開始。会員は航空送料一袋当たり2.5ペンスで100袋までで、種名番号20種まで可能。それ以外属名等記入選別は配給スタッフに一任とする。』

この英文は先生も解釈不明につき『指定番号20種は「一般リスト」及「追加リスト」の中から選出すべきで決して制限リストから選んではならない。』とあり、『赤のライン表記の部分熟考判読されたい。』AGS 種子配給スタッフの限度を超えた慇懃(いんぎん)な表記と先生の温情の現れでしょう。

『残余配給リスト(画像1.2解説)によって配給した上の残り種子。リストの種名、グループにアンダーラインで示すこと。貴君の列記したメモに①②とあるのは「この順番にて要求します。」の意味らしいがそれを認める条文は見当たらない。残余配給の請求は3月1日まで。』

種子と送料を記入し送金するのですがいざ郵送するに当たり、片田舎で外国送金郵便は経験皆無の局員オロオロ、送金用紙目的欄記入に大苦戦。ネット販売が当たり前になった現在からは想像し難いですが、リスト作成から送金まで幾多の難関は郵便局員まで「参戦」する文字通り波乱万丈そのものでした。これは未踏峰の高山を踏破するに似て、成し遂げたのは怖いもの知らずの若さと情熱です。

この記事を書いた人

七宝樹
タイトルは「こうぞうしょうでん」と読みます
長野在住
多肉含めて植物全般「今昔」いろいろを語ります